マルチ商法の場合、政令の指定商品じゃなくてもクーリングオフの対象になったり、取引した場所については特にきまりがないというように、訪問販売などに比べて要件が少しゆるやかになっています。
これは「何を買ったか」「どこで買ったか」ということよりも「どのような取引だったか」という「取引形態(実態)」の方が、法律上でより重要視されることになっているからです。
具体的には、業者との契約が「物の販売や有料でサービスを行う事業又はこれらをあっせんする事業で、一定の取引類型で事業に従事する者に、特定の利益が得られると勧誘し、特定負担が伴う商品の販売やサービスの提供あるいはあっせんに係る取引」にあたるかどうかがポイントになります。
→特定商取引法による規制−連鎖販売取引−
契約内容が法律の適用範囲ならば、期間内(※注1)に書面で通知すれば無条件で解約することができ、既に支払ったお金も全額返還されます。
実際にある程度の期間勧誘を行ったあとでようやく、入会当初に説明された通りには簡単に販売できないことが判明し、クーリングオフの権利行使期間が経過してしまうケースもあります。しかし、その場合でも別の消費者救済の制度がありますのでご安心ください。
例えば『消費者契約法』という法律では、契約に至る過程で業者の説明に嘘があったり、報酬の金額などについて「確実に○○万円儲かる」と告げたりして、その結果消費者が誤認した場合には契約を取消しできると定めています。(第4条)
さらに、特商法にもクーリングオフとは別に、誤認や困惑による取消権が新たに認められました。(特商法40条の3)
ですので、そうした事実があったことを証明できれば、たとえクーリングオフできなくても解約は可能です。(注意:取消権は、追認できるときから6ヶ月間・契約から5年間で時効消滅します。)
「消費者契約法について詳しくはこちらを参照ください。」
なお昨年特商法が改正されて、加入者はいつでも連鎖販売組織から退会でき、一定の場合には退会までに締結した商品販売契約も解除して返品ができる中途解約権(特商法40条の2)も認められました。
「特定商取引法による規制−連鎖販売取引−」を参照
他にも、詐欺や強迫(第96条)・錯誤(第95条)・公序良俗違反(第90条)といった『民法』の各規定によっても取消しや無効を主張できるケースもあります。
それには、ケースごとに各法律が適用可能かどうかを判断したり、訴訟に備えて証拠を準備したり(事実関係の立証責任は、基本的に消費者側にあるのです)と、想像以上に時間的・精神的負担が伴うことになるかもしれません。
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